5月26日(土)に友人達と山下
公園内に停泊展示している戦前の
豪華客船「氷川丸」の船内見学を
しました。
日本郵船で改装、リニューアル時
には公開されていなかった機関室
(エンジンルーム)が一般公開さ
れておりましたので詳細に見てま
いりました。
もう、かみさんも友人達もそっち
のけ。出来る事なら、朝から晩ま
で見ていたい。
船舶、航空機、自動車ともに化石
燃料を利用するエンジン形式は、
ほぼ、戦前には出揃ったと機械工
学講義で習った記憶があります。
戦前客船氷川丸のエンジンなんて
と思っていましたが、なんと、
B&W社製 ダブルアクティング・
4ストローク8気筒ディーゼル・
ジン2機2軸
ダブルアクティング?って何?
みたいな感じですが、通常のエ
ンジンはピストンの上に燃焼室
があり、ここに燃料を入れて
ピストンで圧縮、内部で爆発さ
せた勢いでピストンを押し下げ
て、発生した動力を伝達する仕
組みです。
ダブルアクティングはピストン
を押し下げた下にも燃焼室があ
り、ここでも燃料を爆発させて
ピストンを押し上げます。
単純に8気筒が16気筒になる、
通常よりも単純に出力は倍増す
るけど、構造は複雑化。
コンパクトにおさまるかわりに
整備も難しくなります。
構造を単純化、軽量にしたのが
2ストロークエンジン。
効率は4ストロークの倍。
(燃料も喰うのは仕方ない)
単純な構造で軽量、高出力な為、
バイクのエンジンや、昔は軽自動
車用に利用されていました。
自衛隊戦車に搭載されたエンジ
ンも2サイクルディーゼルエン
ジンを使用しています。
この船舶用B&W社製エンジンは
デンマークの会社。
日本郵船は3機購入。姉妹艦の
日枝丸、平安丸にも搭載。
ちなみに日本の軍艦は蒸気ター
ビンエンジンで燃料は重油です。
この時代の大型ディーゼルエン
ジンは構造が複雑で整備も難し
くて気難しい物だったそうです。
しかし、氷川丸の機関員は優秀
で問題無く運用されていたよう
です。
機関全長24.5m
全幅12.5m
重量1.400t
氷川丸の重量は11.622tなので、
大体、10分の1以上を占めてる
事になりますね。
11,000hp (5,500hp×2)
機関は,4 ストローク複動・空気
噴射方式で,その要目は,8 シリ
ンダ、ピストン直径 680 mm、
ストローク 1600 mm,回転数
110rpm ,出力 5500PS 。
これだと15秒間毎にゴトゴトと、
ピストンが動く感じかな?
騒音は凄まじかったらしく、操舵
室とは船内電話でやり取りをして
いたようです。
船の重量11.622トンなので10分の
一がエンジンの重さ。
最大船速18.21ノット(33.69km)
巡航船速15ノット(27.75km)
1ノット=1.85km/時間
燃費は、どの位かと調べると、
15ノットで18,000海里
3.336km
1海里(かいり:nautical mile)
1852 m 航海や航空用に使う距離
の単位。
燃費消費率~240g/kWh
(12.000kW時)
氷川丸は平成のトラック輸送メイ
ンのカーフェリー(約12000トン)
に近いサイズ。
大まかな燃費は、総走行距離が、
4000キロとすると、
使用燃料(軽油)約450リットル、
燃費約8.8キロ/リットル
船舶と言う乗物の燃費は良いので、
今だに海運は国の重要な要です。
乗客定員331名。内訳は、一等船客
76名、二等69名、三等186名。
乗組員は186名。
戦前には、横浜からハワイ経由で、
シアトルを往復する航路に就航。
ちなみにシアトルまでの気になる
運賃は1930年(昭和5年)1等500円
(250ドル)、2等250円(125ドル)
3等110~140円(55~70ドル)。
当時の大卒初任給50~73円(当時の
日本には8大学しか無く、超エリート
の給料)で金額。
軍人は陸海軍の士官学校出の少尉が
80円で大卒より給料が良い。
日雇い人夫1.6円(朝一から残業代金
込みの金額で、現在の金額ならば、
16000円くらい)だったそう。
1円=1諭吉?くらいらしい。
大卒=50~75諭吉は凄い!学士様
と言われてた遠い昔の話^ ^
昭和初期の学歴格差は凄まじい物
があるもんだ。
NHKの「坂の上の雲」で主人公が
金がかかるから、東京帝大より、
海軍士官学校を選択すれば授業料
や衣食住が無料の上に給料も貰え
るので入学したくだりが。
当時は陸海軍士官学校は東京帝大
より入学試験が難しかったとか。
今じゃ、大卒も給料が上がらず、
奨学金の返済に追われる始末。
学校出てから15年♬
今じゃ、しがないサラリーマン
サラリーマンは気楽な稼業と
来たもんだ。二日酔いでも、
寝ぼけていてもタイムレコード
ガチャンと押せば♬
みたいな戦後の昭和歌謡に揶揄さ
れるようにステータスは年々スト
ップ安。
当時、ハムスター小屋なら100諭吉
位で建つと言われていた時代。
1等500万円、2等250万円,3等
120万円!現在の豪華客船運賃より
も高額。
まさに夢のシアトル航路だったわけ
です。さて、長くなりましたので、
戦中、戦後は後編に続きます^ ^